弱小少年団から、まさかのスカウト —— 理由なき抜擢と、引き返せない恐怖
小学生の頃、自分が所属していたのはごく普通の弱小少年団だった。指導ライセンスを持っているのは監督ただ一人。コーチ陣は全員、週末にボランティアで教えてくれる近所のお父さんたちだった。挨拶や道具の整理整頓、大人への礼儀には厳しい、とても温かくて良いチームだったが、いざサッカーの強さとなると話は別だった。
練習も試合も、当然のようにボコボコに踏み固められた土のグラウンドだけ。芝のグラウンドなんてテレビの中の世界だった。週末になると、家からすでにスパイクを履き、すね当てを装着した状態でママチャリに跨がって集合場所へ向かう。練習が終われば、泥と汗にまみれたスパイクとすね当てのまま、再びチャリを漕いで帰宅するのが当たり前の日常だった。
成績は悲惨そのものだ。近隣の少年団の中でもダントツの最弱。市大会にすら一度も出場できたことがなく、試合に出れば負けるのが当たり前。勝った記憶など数えるほどしかなかった。卒業すれば、同級生は一人残らず全員がそのまま地元中学校のサッカー部へ進学する。そして言うまでもなく、その中学のサッカー部も市内では弱小チームだった。
そんな「温くて平和な弱小の世界」で生きていた自分に、転機はあまりに突然やってきた。
強豪クラブからの突然のスカウト
県内でも有数の実績を誇る、強豪の中学生クラブチームからスカウトの声がかかったのだ。実績ゼロ、市大会すら出たことがない弱小チームで、泥だらけになってボールを追いかけていただけの自分に、だ。理由は今でもよくわからない。「体格が良い」「化けるかもしれない」といった、監督の気まぐれな直感だったのかもしれない。
親は驚き、自分も「自分には隠れた才能があるのかもしれない」と有頂天になった。地元の仲間たちと同じ中学のサッカー部へ行く道を選ばず、自分だけが誇らしげに強豪チームの門を叩くことに決めた。
温かい世界から弱肉強食の大海原へ
だが、当時の自分はまだ知らなかった。土のグラウンドでスパイクのままチャリを漕いでいた温かい世界から、弱肉強食の大海原へ放り出されることが、どれほど残酷で過酷な現実の入り口であるかを。
なぜこの話をするのか —— 1億円の借金と向き合う「精神的骨組み」
資産形成や「1億円の投資」という金のリアルを語る前に、なぜわざわざこんな泥臭い少年時代の話をするのか。理由は単純だ。実力もないのに分不相応な高い環境に飛び込み、そこで這いつくばりながら自分の無力さに耐え抜いた原体験こそが、後に「1億円という巨大な借金」とたった一人で向き合うことになる自分の精神的骨組み(マインド)を作ったからだ。


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